モビルスーツは実現するのか
初代ガンダムをはじめ、かつてのロボットもののアニメの主役と言えば人型のロボットでした。
来るべき未来の兵器像かと子供心に胸を躍らせたわけですが、果たして将来現実に人型ロボットが戦場に登場するのでしょうか。
モビルスーツが登場する背景
こう言う事を言うと身も蓋も無いですが、モビルスーツ登場の背景はスポンサーの意向によるものという事実ですね。
当初は全長2m程度のパワードスーツ的な設定であったためモビルスーツと名称にその由来が残る形となっております。
アニメも商業作品ですから、慈善事業じゃないので売れないと会社がつぶれてしまいます。
大人となった現在、このような流れは至極理解できます。
アニメで登場するメカがロボットで無くてはならない、理由としては立体物で2次創作品として販売する為といったビジネススキームがあったのかもしれません。
結果的に今日まで続くガンダムシリーズの成功はこのモビルスーツ無くしては語られなかったでしょう。
ガンダムの成功の秘訣としては微妙にリアルな路線がヒットしたからと思います。
その結果設定考証は置き去りに
アニメそのもの、ガンダムシリーズとして現在まで続くロボットものとしては比類なき立場を確立しました。
本来望んでいたカタチでは無いにせよ、スポンサーの意向で生み出されたモビルスーツ群。
その登場は精緻な軍事的な設定考証から産まれたものでは無かったでしょう。
現実の兵器体系から言ってモビルスーツ、ヒト型兵器の登場は難しいでしょう。
あるとしたら当初の案のパワードスーツのような機動化歩兵は可能性としてはあるかもしれませんが、全長20m弱の大型兵器はとても現代の戦場で生き残れるとは思えません。
現代の戦車砲の貫通力は様々ですが400~800㎜はあると言われています。
これはモビルスーツのコクピットを打ち抜くことなど容易なスペックでしょう。
また全長が20mともなれば地雷、歩兵のRPG、榴弾等生産コストがモビルスーツより遥かに劣る兵器の脅威に耐えられるとは思えません。
すくなくとも地球上での話ね。
宇宙は行ったことが無いのでわかりません。
既存兵器との差別化が難しい
アニメに登場するザクが既存兵器である連邦軍の戦車を蹂躙するシーンがあります。
連邦軍の戦車の攻撃は全くザクには通用せず、逆にザクの攻撃はスパスパ戦車を撃破していきます。
来るべきモビルスーツの時代を予感させるシーンであります。
武装も貫通力が劣り、防御も劣るザクがなぜか既存戦車を圧倒するのはそうですねアニメの演出であります。
メーカーが売りたいのは戦車のプラモデルではなくロボットのプラモデルです。
ザクが戦車に負けるはずが無いんです。
というように既存兵器より優位性を保つために設定考証からどんどんかけ離れていき技術的、軍事的に乖離していくわけであります。
苦しい後付け設定
もう巨大ロボットでいくと決めたものの、それなりの整合性を取らなくてはならないアニメ製作スタッフは苦心したものと想像できます。
そもそもモビルスーツの登場背景も、既存のレーダーを使用不能にするテクノロジーとしてミノフスキー粒子が発見されそれによって有視界戦闘を余儀なくされてモビルスーツが登場したとあります。
要は人型のロボットがアニメの演出上白兵戦をする必要性があった。
いくらモビルスーツが登場しても、現実的に3000mの距離で撃ち合っていては白熱した戦闘シーンには成らないでしょうし。
仮にレーダーが使えなくなっても即有視界戦闘だとなるのが不思議です。
そもそも現有戦車にだってレーダーなんか搭載されてないのに。
レーダーが無くても光学系、赤外線等パッシブ系のセンサーは問題が無いとは思います。
フィクションのアニメに何を言ってるんだというムキもありますが、ある程度の現地味を加味しないといろいろと齟齬が生じてしまいます。
ここらへんの設定があやふやだと2次創作商品にも影響を与えるからです。
例えばガンプラのMGマスターグレードとかRGリアルグレードのような通常よりリアルなシリーズがありますが、これらは何を元にって話になってきます。
それでも魅力的なモビルスーツ
真面目に突き詰めて検証していけば、モビルスーツの存在意義はかなり薄いと言えますが、それでも人々を魅了してやまないのはワンチャンありそうというギリギリのリアル感なんじゃないでしょうか。
冷静になって考えれば存在は否定されるんだけど、ひょっとしたらという部分。
これが所謂夢ってやつなんでしょうかね。
そうなんです。
僕らは夢を追っかけてるんだ!!